QC検定3級/手法分野
管理図の読み方と管理限界線の計算
管理限界線は「工程の実績から計算する線」で、規格値とはまったく別のものです。この区別ができているかが、3級の管理図の問題で最も問われます。
管理図は何をする図か
工程からデータを取り、時間の順に点を打っていく図です。真ん中に中心線(CL)、上下に管理限界線(UCL・LCL)を引き、点がその間で不規則に動いていれば工程は安定していると判断します。
点が限界線の外に出たり、並び方に規則性が現れたりしたら、いつもと違う原因(異常原因)が入り込んだ疑いがあります。
最重要:管理限界線と規格値は別物
ここを取り違えると、管理図の問題はほぼ落とします。
規格値は、顧客や設計が「これを満たしてほしい」と決めた値です。工程の実力とは無関係に、外から与えられます。
管理限界線は、その工程が実際に出しているばらつきから計算した線です。工程の実力そのものから決まります。
したがって管理図に規格値を書き込むのは誤りです。規格を満たしているかを見るのは工程能力指数の役目で、管理図の役目ではありません。
X̄-R管理図(計量値)
長さや重さのような計量値では、数個ずつまとめた群を作り、群ごとの平均(X̄)と範囲(R)を打点します。平均の変化とばらつきの変化を、2枚の図で同時に見るわけです。
管理限界線は、群の大きさ n で決まる係数を使って計算します。係数は表から読みます。
| X̄管理図 | CL = X̄̄ / UCL = X̄̄ + A₂R̄ / LCL = X̄̄ − A₂R̄ |
|---|---|
| R管理図 | CL = R̄ / UCL = D₄R̄ / LCL = D₃R̄ |
| X̄̄(エックスバーバー) | 各群の平均を、さらに平均した値。 |
| R̄(アールバー) | 各群の範囲を平均した値。 |
例題:X̄-R管理図の管理限界線を引く
群の大きさ n = 5 でデータを取ったところ、X̄̄ = 100.0、R̄ = 4.0 でした。係数表から n = 5 のとき A₂ = 0.577、D₄ = 2.114、D₃ は値なしです。
- ① X̄管理図の中心線 CL = 100.0
- ② X̄管理図の上側管理限界線 UCL = 100.0 + 0.577 × 4.0 = 100.0 + 2.308 = 102.31
- ③ X̄管理図の下側管理限界線 LCL = 100.0 − 0.577 × 4.0 = 100.0 − 2.308 = 97.69
- ④ R管理図の中心線 CL = R̄ = 4.0
- ⑤ R管理図の上側管理限界線 UCL = 2.114 × 4.0 = 8.46
- ⑥ R管理図の下側管理限界線 n = 5 では D₃ の値がないため、引かない 計算するとマイナスになってしまうためです。n が7以上になると D₃ の値が与えられ、下側の線も引きます。
答え:X̄管理図:CL 100.0/UCL 102.31/LCL 97.69 R管理図:CL 4.0/UCL 8.46/LCL なし
よくある間違い:A₂ を R管理図に使ったり、D₄ を X̄管理図に使ったりする取り違えが起きやすいところです。「A₂ は平均の図、D₃・D₄ は範囲の図」と対応で覚えてください。
p管理図・np管理図(計数値)
不適合品の個数のような計数値では、別の管理図を使います。使い分けの基準はサンプルの大きさが一定かどうかだけです。
| p管理図 | 不適合品「率」を管理。サンプルの大きさが群ごとに違ってもよい。 |
|---|---|
| np管理図 | 不適合品「数」を管理。サンプルの大きさが一定のときだけ使える。 |
例題:p管理図の管理限界線を引く
毎日200個ずつ検査していて、全期間を通した不適合品率の平均は p̄ = 0.05(5%)でした。
- ① 中心線 CL = p̄ = 0.05
- ② 限界線の幅を計算する 3 √( 0.05 × 0.95 ÷ 200 ) = 3 √0.0002375 = 3 × 0.01541 ≒ 0.0462
- ③ 上側管理限界線 UCL = 0.05 + 0.0462 = 0.096
- ④ 下側管理限界線 LCL = 0.05 − 0.0462 = 0.004 計算結果がマイナスになる場合は、下側管理限界線を引きません。不適合品率が負になることはないためです。
答え:CL 0.05/UCL 約0.096/LCL 約0.004
よくある間違い:p管理図では群ごとにサンプルの大きさ n が違うことがあります。その場合、管理限界線は群ごとに計算し直すので、線は水平ではなく階段状になります。
異常と判断する見方
点が管理限界線の外に出たときは、当然ながら異常を疑います。ただし、すべての点が限界線の内側にあっても、並び方に規則性があれば異常と判断します。
| 限界線の外に出る | 最も分かりやすい異常。 |
|---|---|
| 連(れん) | 中心線の片側に点が続けて並ぶ。工程の平均がずれた疑い。 |
| 傾向 | 点が続けて上がり続ける/下がり続ける。摩耗や劣化の疑い。 |
| 周期 | 一定の間隔で上下を繰り返す。日替わり・交替勤務などの影響の疑い。 |
よくある質問
管理図に規格値を書き込んではいけないのですか?
はい。管理限界線は工程のばらつきから計算した線、規格値は外から与えられた要求で、性質がまったく違います。同じ図に混ぜると、工程が安定しているかどうかの判断と、規格を満たしているかどうかの判断が混ざってしまいます。
R管理図の下側管理限界線がないのはなぜですか?
群の大きさが6以下のとき、計算するとマイナスの値になってしまうためです。範囲は必ず0以上なので、マイナスの線には意味がありません。そのため係数 D₃ の値が与えられず、線を引きません。
p管理図と np管理図はどう使い分けますか?
サンプルの大きさが一定なら np管理図(個数をそのまま打点できるので分かりやすい)、群ごとに違うなら p管理図(率にそろえないと比べられない)を使います。判断基準はこの1点だけです。
管理限界線はいつ計算し直しますか?
工程に改善を加えてばらつきが変わったときや、管理図を作ったときとは条件が変わったときです。工程が安定している間は同じ線を使い続けます。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。