QC検定3級/実践分野

計測の基礎と測定誤差

「誤差」「かたより」「ばらつき」は別の意味の言葉です。測ったデータそのものが信用できなければ、その先の統計計算はすべて無意味になります。

なぜ計測が品質管理に出てくるのか

工程能力指数も管理図も、測ったデータをもとに計算します。その測定値自体がずれていたら、どんなに正しく計算しても結論は間違います。

だから品質管理では、測るという行為そのものを管理の対象にします。

3つの言葉を区別する

どれも「ずれ」を表しますが、指しているものが違います。

誤差 測定値 − 真の値。1回の測定が真の値からどれだけずれているか。
かたより 測定値の母平均 − 真の値。何度測っても同じ方向にずれる、系統的なずれ。
ばらつき 測定値が揃わない程度。同じものを繰り返し測ったときの散らばり。

正確さと精密さは別

かたよりが小さい=正確さが高いばらつきが小さい=精密さが高いと対応します。この2つは独立していて、片方だけ良いこともあります。

例えば、何度測ってもほぼ同じ値が出る(精密)けれど、その値が真の値から一定量ずれている(不正確)という測定器があります。この場合、繰り返し測っても誤差は減りません。

逆に、平均すれば真の値に近い(正確)が1回ごとの値が大きく散らばる(不精密)測定器もあります。こちらは回数を増やして平均すれば精度が上がります。

例題:かたよりを求める

真の値が50.0 mm と分かっている標準の品物を10回測定したところ、測定値の平均は50.3 mm でした。

  1. ① かたよりの定義にあてはめる かたより = 測定値の母平均 − 真の値
  2. ② 数値を入れる 50.3 − 50.0 = +0.3 (mm)

答え:かたよりは +0.3 mm(測定値が一定して大きめに出ている)

よくある間違い:このずれは回数を増やしても消えません。平均しても +0.3 mm のまま残ります。取り除くには測定器の調整や校正が必要です。

校正とトレーサビリティ

校正とは、標準器と比べて測定器の値のずれを求めることです。ここで大事なのは、校正はずれを「求める」行為であって、直す行為ではないという点です。直すのは調整といいます。

トレーサビリティは、その標準器がさらに上位の標準器と比較され、国家標準・国際標準までたどれる状態になっていることです。これがあって初めて、その測定値が社会的に通用します。

官能検査の位置づけ

見た目・音・触感など、人間の感覚で判定する検査を官能検査といいます。測定器で数値化できない特性を扱えますが、判定する人によってばらつきが出やすいという弱点があります。

そのため、限度見本(合格・不合格の境目を示す実物)を用意する、判定者を訓練する、といった対策で判定を安定させます。

よくある質問

誤差とかたよりはどう違いますか?

誤差は1回の測定値と真の値との差です。かたよりは何度も測ったときの平均と真の値との差で、同じ方向に一定して出るずれを指します。繰り返し測って平均するとばらつきは小さくなりますが、かたよりは残ります。

校正すれば測定器のずれは直りますか?

校正はずれを「求める」までです。求めたずれをもとに測定器を直すことは調整といい、別の行為です。この区別が試験で問われます。

正確さと精密さはどちらが重要ですか?

用途によります。ただし、かたより(不正確さ)は繰り返し測っても消えないため、気づかないまま使い続けると全データが同じ方向にずれます。定期的な校正で確認する必要があります。

読んだあとにやること

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